第29話 その4

また一つ話をしよう

一人の資産家が 自分のしもべに 資産を分けてやって それぞれに商売を始めさせた
資産家は言った
あなたがたに 私の資産の一部を与える
これをもって あなたがたのできることをしなさい
しもべたちはそれぞれ自分に与えられたものを受け取り 商売をしに出掛けた

あるものは花を受け取った
花を受け取ったしもべは それを日当たりの良い地に植え その種を増やして花畑を作り 人々を招いて言った
ここで食事をしたら素晴らしいと思うのですが 誰を招けばいいでしょうか
人々は答えて言った
こんなに素晴らしいところで食事をするのでしたら
花が枯れぬうちに 高貴な人々を呼んで宴会を開きなさい
人々は酔ってこの地を誉め この花畑を広げるために支援してくれるでしょう

あるものは鉄を貰った
鉄を受け取ったしもべは 町へ行き それを打って刀とし それを持って戦場へ出掛けた
彼は兵士として働いたが それは争いを起こすためではなく 戦いの武器を壊すためであった
彼の出る戦いは どの地も互いに血を流すことなく 傷つける武器はことごとく砕かれていった
敵は戸惑い 味方は憤ったが 彼は言った
どうして同じ血の流れる者同士 争うのですか
あなたがたが世の常のことに血を流すのは 良くないことです
それを行ったがために 先に滅んだ国があり とがのために散らされた国があるのです
血を流すことをやめなさい
それは 勝っても負けても 血を流された地は あなたがたのためにはもはや食物を生じなくなるでしょう
そして 彼は叫んでいった
人を殺すために流す汗を 地を耕すために流しなさい
あなたがたが振るうべきは剣ではなく くわやすきにしなさい
それによって 死ではなくいのちを生みなさい

あるものはぶどうを受け取った
ぶどうを受け取ったしもべは その受け取ったものを見つめた
しもべは言った
私に何ができるだろうか
これで畑を作るには 人でも足りなければ 種も足りない
しもべはぶどうを見続けていると 一つの車が通りかかった
そして 車に乗っていた人が しもべが持っているぶどうを見て言った
私は喉が渇いている
あなたのぶどうを搾って 私に飲ませておくれ
しもべはぶどうを差し出し 車の持ち主の杯に汁を注いだ
車の持ち主がそれを飲むと 叫んでいった
なんとおいしいぶどう汁なのだろうか
あなたはこれをどこで手にいれたのですか
しもべは答えた
これは 私の主人の畑でとれたものを 主人が私にくださったのです
主人は私に言われました
これをもって あなたがたのできることをしなさい
それで商売を行いなさい と
車の持ち主は言った
では 私はあなたの主人の畑を増やすために働き人と 畑とを与えよう
私はこの国の王である

資産家のしもべたちは おのおのできることを行った
彼らはその働きにより 主人に益をもたらしたのだ
そして 彼らは自分の主人と決算をするときに言った
あなたが私たちに与えてくださったものは素晴らしいものでした
あなたは私たちに平和へと導く種をくださいました