第28話 その7

羊は 身を起こして本を開き 再び筆をとって書き記した

それは 二人の医者の話
それは この地に来る災いを退ける話
それは 世界を行き巡り 父の御心を悟らせるためにことばを紡がれる方の話

旅人は言った
あなたに注がれたものを いま輝かせなさい
それは 父の注いだ油であって 父の与える灯火を保つためのものである

医者たちは 自分たちに注がれた祝福によって 与えられていた賜物を活性化させた
彼らは 自分の研究の行き詰っているところを 他のものの見聞によって解き明かし 見聞の欠けた部分を 研究の成果が繋いで答えを導き出した
彼らは 羊や町の人々が何によって気力を失い 苦しめられているかを知った
そして それは本来人の手に負うことのできぬものであることも知った
二人の医者は 少女たちに言った
これは 遠くで聞いたことのある地から流れ出る 荒い気によることです
それは 細かいチリのように 風に乗ってやってきますが それは ブヨのように人を苦しめ 床に縛り付けるものです
これは 人の手には負えるものではありません
どうか あなたがたの力をお貸しください
少女と女性は頷き立ち上がった

医者に手の負えないもの 人の見聞では理解のできないものも 父によっては造作もない
彼が全てを設計し 境を決められたゆえに 彼のことばによってすべてが紡がれ 成り立っているゆえに
彼の御手によってすべて紐とかれ また 彼の愛によってすべて結ばれる

旅人は その方の栄光を見た
医者たちが 自分ではできぬことを悟り 彼らの父に助けを呼び求めたゆえに 彼らの父はそれに応えられ 一人の使者を遣わした
彼は 光をまとい 父の栄光を帯びていて あたりのものを照らした
旅人はその方を見て 我が主よ と言った
医者たちは 顔を上げて見ると それは光であって 姿をはっきりと見ることができなかった
彼らは恐れたが 平安が彼らを包み その恐れを取り除いた
光を帯びた方は 旅人に近づいて触れ うちにある患いを取り除いて言った
あなたがなすべきことを 急いで行いなさい
すでに門は閉じかかっている
彼らは 自分勝手に門を閉じ 国を滅ぼそうとしている
さあ 行きなさい
あなたの道はわたしが堅く定めてすぼめられることのないようにした
旅人は 光をまとう方にお辞儀をして 立ち去った