第28話 その3

旅人は言いました
もし 私が定めた期限までに 私を治すことができないのであれば
この地は悲惨な道を辿ることになるでしょう
私は 隣の国からの遣いで 戦争が始まる前に 互いに話し合いを設けるために相手の国へ手紙を届けるためにやって来たのです
しかし この手紙を届けることができないならば 間にあるすべての地は焼け野原となり 荒地となって 滅んでしまうでしょう
この手紙は 預けられた私にしか届けることができませんから 代わりの人に頼むこともできません
医者たちは青ざめて言った
このままでは 我々は自分たちの力不足の故に滅んでしまうだろう
そうすれば 自分たちの積んできたものは どうなるだろうか
自分たちの集めた知恵知識は どうなろうか

羊は眠りながら夢を見た

一つの国が 国の中に起こって立ち向かい 剣を向けて言った
私たちはあなたのことばに聞き従わない
私たちは私たちに王を立て あなたから私たちを切り離そう
こうして 国は二つに別れて 敵対し合っていた
彼らは一人の人から分かれて増え広がり 星のように多くなったが 各々自分の良いと思うところに進み 彼らを作った方を呼び求めなかった

生ける水の泉は 誰の口をも潤すことなく流れ続けた
彼は沈黙している老人のように 言葉を発することのできない赤子のように ただその状況を見つめていた
泉は何のためにあるのか これは何を願って据えられたのか
彼は 彼を作ったものの語ることば 生ける水を語り 流したが それを聞くものはなく 地に水を注ぐように それは注がれた

一つの国は 今持っているものをより深く掘り下げるために
もう一つの国は 今持っているものをより広げるために
彼らは 同じものを求めつつ 違うところを探り 望みを得ようとしていたが
彼らは 自分の根を顧みることなく 本分を思い出すことなく 自らの剣を振るった

そこへ 彼らのうちに 一人の男子と女子とが生まれた
彼らはそれぞれ別の国に生まれ それぞれの国の教え その求めるところを聞いて育った
そして ある日 彼らは偶然にも出会い 恋に落ちた
彼らは その日互いのことを話し 自分たちの国が求めているところは一つであって それを彼らは理解しておらず 生きる希望を求めて刃を振るい 自らを縛っていることに気付いた
彼らは 自分たちが本当に求めるべきもの 見出すべきものに心を傾けた
それを 彼らの先祖を生み 彼らを組み立てられた方はごらんになった
その方は言われた
あなたがたの求めるものを 言ってごらん
それは 様々なことばであらわすことができるだろう
それは ことばを作ったものであって ことば自身なのだから
彼らは 互いに手を握って言った
私たちは あなたを王として迎え入れたいのです