第28話 その2

少しすると 薬のにおいが漂う建物が目につき 少女たちはそこの戸をノックした
中から声がしたので 少女は扉を開け 中へと入り 羊を見せて言った
この子が旅の途中で苦しみだしたので 見ていただけませんか
中にいた人 そこに住む医者は大きな眼鏡をかけなおして 羊をベッドに寝かせ あちらこちらを調べた
そして 何度も本を開きに机へ行ったり 本棚へ走って行ったりを繰り返し 最後に首をかしげて言った
全くわからん
少女は驚いて言った
じゃあ 私たちはどうしたらいいのですか
大きな眼鏡の医者は 首を振って答えた
これは このあたりの病ではないかもしれん
私の手にはおえん
長年続けている研究が進めば どうにかなるかもしれんが……
女性は医者を見つめて言った
では ほかの方に見てもらいます
ありがとうございました
そうして羊を担ぎ上げて出ていったので 少女は慌てて後へついて行った

女性は町を見回しつつ 歩きながら口を開いた
あの人では いつ治していただけるかわかりません
ほかのよい人を見つけましょう
そして歩いていると 一人の男性に出会った
彼は女性の担いでいる羊が苦しそうなのを見て 声をかけてきた
その子 苦しそうだね 大丈夫かい?
女性は答えた
この子は旅の途中だったのですが 苦しみ始めたので この町で治してくださる方を探しているのです
彼は答えた
それは大変 僕は医者だから その子を見てあげるよ
医者は女性たちを連れて自分の住むところへと連れていき 羊をベッドに寝かせて調べはじめた
しかし 彼は一通り調べ終わると 口を開いて言った
これは 見たことのない症状だね
少女は心配そうに聞いた
この子は 治るのでしょうか
医者は答えた
わからない
似たような症状なら ちらっと聞いたことがあるんだけど なんだったかなぁ……
医者は うーん とうなって首をひねっていた
女性は医者を見つめ 言った
あなたでは解決できなさそうなので 他を当たります
そういって 羊を担ぎ上げた
すると 医者は言った
この町に ほかに医者はいないはずだよ
女性は答えた
いえ もうすでに一人のお医者様に掛かっていますが その方も同じような反応を示されたので すぐにそこを出てまいりました
その医者は それを聞いて 首を傾げ 思い出したように 大声を上げた
あぁ あの研究者ね
医者だと名乗っているのか
でも 彼は年中家に引きこもってて 何をしているかわからないし どうせこの子も治せっこないよ
女性は 医者に答えた
しかし あなたもこの子を治せませんでしたよね
医者はそれを聞いて返す言葉もなかった

女性は外に出て 近くの木陰に羊を寝かせて言った
どうしましょうか
幸い羊さんは すやすやと寝ていますが 少し苦し気でもあります
症状が悪化する前に どうにかしたいものです
少女は言った
そうね 苦しんでるのを どうにかして和らげたいな
少女は羊を撫でた
すると 羊の表情は少し和らいだ