第27話 その5

その方は言った
あなたの目を洗い わたしの見るように見なさい
あなたはいま わたしとともにいるのだから 同じ視点でものを見なさい
日々 父の語ることばを受け その恵みにあずかり いつも満たされていなさい
それこそ この世にはない喜びであり あなたがたが生きる上で必要なものである
子どもたちはそれを聞いて頷いた

あるところに 野菜の畑があった
畑には様々な作物が植えられ 人はそれを育てていた
あるとき その種類が多いために 互いに絡み合うようになってしまった

作物たちは おのおの自分が育つために根を張り 身を伸ばして枝を広げていて
周りのことは考えていなかった
それ故 互いの行いがぶつかり合い 食い合うようになってしまった
これを見た農夫は言った
これはいったいどういうことだ
私が蒔いたもの 私の子たちが 互いに絡みついて 苦しめ合っているではないか
農夫は急いで手を伸ばし 仲裁しようとしますが
彼らを育つままに放っておいた故に 手の付けようがなくなっていました
我が子たちよ 私は どうすればいいんだ
農夫は思い悩みました
このままでは 互いに食い尽くして すべてが台無しになってしまう
しかし 人の手を入れれば 作物すべてが傷つき いくつかのものはダメになってしまうだろう
農夫は 知っていました
手を付けられなくなった子は 自分の手で始末しなければならない と
こうして ほかの畑にまで身勝手な思いが及ばないようにしなければならない と
しかし 農夫は自分の蒔いた種たち 畑で育った作物を ほかの畑の作物のように愛していました
農夫は叫びました
私はあなたがたを放っておいて 自分たちの自由に育つままにしてしまった
しかし それはあなたがたにとっては悪いことで 私がきちんとあなたがたを愛し 教えて育てることをしなかった故に あなたがたは自分の生き方を知らずに大きくなり 自分の道を曲げてしまった
きちんとあなたがたを育てなかった私をゆるしておくれ
そして 願わくば 自分たちの分を超えず 自分に与えられたところで その花を咲かせて 実を結んでおくれ

すると 空は曇り初め 水を含んだ雲が畑の上に集い 雨を降らせ始めました
それと同時に 声が聞こえました
誰がこれを養い 成長させるのか
誰が雨雲を呼び寄せ 日に命じて光を照らすのか
誰が風を叱り 熱風を起こさず いなごを叱りつけて取り除くのか
あなたは誰に養われ 誰の恩恵を受けて育ったのか
あなたは誰を知識を得て その頭に蓄えるのか
その源は どこにあるのか すべてを紡ぐ泉は どこにあるのか
あなたは知らないのか わたしがあなたに種を与え またこの地を与えて あなたの受け継ぐ地とし あなたにこれを守らせたのだ
あなたはここに種を蒔いたが わたしが命じなければ どれも芽を出さずに枯れていたのだ
あなたはどこから水を汲んできたのか あなたは川をひいて近くに流れさせ 岩を割いて水を湧かせたのか
あなたは種のはじめを知って それをうみだしたのか
農夫は天を見上げた
そこは雷が鳴り響き いっそう強く雨を降らせていた
その水は 畑の作物にかかると 和らぎを与えた
それは おのおのの思惑を退けて 閉じていた目を開かせるものだった
絡みついていたものたちは 自分のところへ帰り 天へと伸びていった
まるで もっと雨を受けようとするかのように
声は続いた
あなたは自分がこの畑を作り 初めから終わりまでを知っていて 生きてきたのか
あなたはわたしのことばを聞きなさい
そして わたしに頼りなさい
誰がこれをあなたに与え これを管理させたのかを もう一度思い出しなさい
あなたの知っている範囲で 物事を判断してはならない
それは この作物たちのように 互いに絡みつき 自らの首を絞めるようなものだ
あなたは燃える情や愚かな知恵ではなく わたしの心を得なさい
それは すべてのものを正しく見えるようにするものである

雨は力強く降り続き 雷は地を打った
それは 作物の間に垣を作り 互いに分を超えるようなことのないようにするためであった
やがて雲は止み日が出てくると 畑の作物たちは伸ばした枝からその恵みを受けて生き生きとしていた