第27話 その2

女性は うちにあった世界で言った

一人の人が 月の光の下歩いていた
そこには水がなく 見渡す限り砂漠で 木も葉がなく 枯れていた
その人は ぽつりと言った

誰が信じるだろうか
ここはかつて人の住んでいたところだった
ここは緑に溢れ 豊かな土地で 季節に応じて作物が実り 水で潤っていた
しかし いまは荒れ果て 人や獣はおらず すべての地の産物は絶えてしまった
このことは 一夜にして起きてしまったのだ

あなたはこの地に導き 私の先祖を恵んで実のなるもので周りを囲み 飢えることのないようにしてくださいました
あなたは水のなくならない泉を据えて 川の流れるように筋を引き 渇くことのないようにしてくださいました
しかし 私の親はあなたに歯向い あなたのことばを聞かず 私にあなたのことを語らず あなたを知ることができないように汚れたもので私を囲みました
あなたが忌み嫌うもので この地を満たし 私はそのことに苦しんでいました
その時 あなたは私が叫ぶ前にこの地とそこに住むものをこぼち すべてをむなしくされました
あなたはただ私だけを残され こうして地をさまようものとされました

私はどこへ行けましょうか すべてのものが絶え 食べるものも飲むものもなくなり 仕事や家 守るべきものもなくなりました
私はこのことを誰に語りましょうか 見渡す限りあなたの焼き尽くしたものの灰と むしり取られた枯れ木のみです

その人はやがて歩き疲れて立ち止まり うずくまった
すると 声が聞こえた
あなたが触れている地のほこりを取って それに息を吹き込みなさい
その人は 回らない頭でそれを行った
その人は 地に垂れた手で地のほこりを取って それを口の前に運び それに息を吹いた
すると それは宙に散らばった
そして 大きく広がっていき 見えない何かに被さった
その人は 何もないところへ ほこりがたまるのを見て驚き 空間に姿をあらわすものがあった
声は言った
わたしがあなたの見えていないものをあらわそう
わたしがしたことの本当の意味を あなたに示そう
空は 雲が沸き起こり 水を含んでそれを地に降らせた
雨は ほこりが被ったところを洗い流し 見えなくしていたものをも落としていった
すると 洗い流されたところは 景色が切り取ったように向こうが見えるようになり
その人は歩いていって 向こう側を見た
そこには 一面緑の豊かな土地が広がっていて 人や獣がともに暮らしていた
近くに川があって 果物のなる木を潤し 人々はその実を取って 腹を満たしていた
声は言った
わたしがこの地を焼いた時 あなたの目に灰が入った
それは あなたの目を曇らせ 物事を正しく見ることができなくなっていた
脂が脂によって取り除かれるように わたしは灰を持ってあなたの目を洗い あなたの見るものを明らかにした
あなたが語ったことは どこにあるのか あなたはいま何を見ているのか
あなたは彼らのところに行って そのうちに住まい 安息を得なさい
わたしは不要なものを焼き払ったのだ

女性は 顔を上げて その方の導く車から 外の景色を見た
そこは草が風になびき 小川が流れていた
野には小さな獣が駆けていき 木は思い思いに身を高くそびえさせて 実を実らせていた
女性は言った
あなたが明らかにした あなたの世界は いま 私の目に映ります
そして 眩しそうに目を細めた