第26話 その7

わが子よ 何を願おうか
わが子よ 何を語ろうか
あなたに何を与え どんな恵みを施し あなたの道を示そうか
わたしはあなたの目を開き すべて正しく見えるようにした
あなたの耳を開き すべて生きるものの賛美を聞こえるようにした
あなたの鼻を開き 必要なものを嗅ぎ分けることができるようにした
あなたの口を開き わたしのことばをあなたの舌に与えた
あなたはわたしのうちにいて わたしとともに歩むだろう
わが子よ わたしのうちにいる愛子よ
あなたは少しずつ 知りなさい
必要なものはすべて わたしのうちにあって あなたの手の届くところにある
あなたはひとつも取りこぼすことはない
あなたは わたしのうちにいるのだから

羊飼いの少年は ゆりかごのような環境で育ち 目には見えなくとも その暖かさが彼を包んでいました
少年はその包まれている愛を持って 羊たちを導き 彼を覆う恵みを流していたので
羊たちは瞬く間に増えていき 受け継いだ時と比べることのできないほどの大きな群れとなりました
羊たちは 少年が羊たちを愛しているように 愛していて 羊たち自身も 少年を家族と思っていました
それ故 旅立ちの日に際しても 羊たちは彼を送り出すことを決心していました
私たちと共に育った 私たちの長が 新たな地に進んでいくのだから
私たちもそれに従おう
私たちも 各々進むべきところへと行き そこで新たな手によって飼われよう と

少女たちは 羊飼いと羊の群れをその方のところへと連れてきました
その方は羊飼いに近づくと抱きしめて 言いました
おかえり わが子よ
羊飼いは 遠い昔に 同じように抱かれたことを思い出し 泣き出しました
その方は言った
あなたへの祝福のことばは いま成就した
さあ あなたに託された願いを果たしに 町へと行こう
彼らもまた あなたの羊なのだから
いまはそれを飼うものがなく各々自分勝手に生きようとしてさまよっている
あなたが行って それらを整列させなさい
羊飼いは はい と返事をしましたが 続けて口を開きました
町へ行く前に 少しだけ時間をください
その方はそれを許すと 羊飼いは羊の群れの方へと歩いていき 一匹ずつ抱きしめて 互いの愛を確認し合いました