第26話 その6

ザリザリ 戸をこする音が聞こえ 羊飼いの少年はゆっくりと開けた
すると そこには小さい羊が立っていた
小さい羊は羊飼いの少年へ近づくと めぇ と鳴いてその靴を噛んで引っ張ろうとした
羊飼いの少年は 小さい羊の後へついていくと 羊の群れが皆立っていて 羊飼いの少年を見つめていた
それはまるで軍隊が整列して微動だにしないように 指揮者の方を向いて黙しているように 羊たちは羊飼いを見ていた
小さい羊は 羊飼いの少年を見上げて めぇ と鳴いた
どこへでもついていきます と言っているかのようであった
少女は言った
あなたの子たち あなたの家族は すでに準備ができているようね
あなたはどうなのですか
羊飼いの少年は 少女たちに向き直った
少女は続けた
私たちは 私たちを見つけ出してくださった方のことばのとおりに歩み そしてあなたを見つけました
あなたも あなたのなすべきことのために 歩を進めなさい
恐れることはありません
この子たちを養い守っているのは あなたではなく あなたをも養い 日々育ててくださっている方ではありませんか
あなたに力を与え 分別を与え 彼らを心にとめることのできるほどに地境を広げてくださったのは その方ではありませんか
あなたはあなたの道へ進みなさい
安心しなさい 彼らはあなたの後をついていき あなたが託したものについていくのですから
小さな羊は もう一度 めぇ と鳴いて 羊飼いの足に頭をこすりつけた
羊飼いの少年は 小さな羊を抱きかかえ 家へと入っていった
そして 装いを整えて 手には杖を持って 出てきた

彼は言った
どうぞ 私に私の進むべき道を教えてください
私の任された地へと 導いてください
そこで 私は自分の分を果たしましょう
少女たちは頷くと 羊飼いと羊の群れを連れて その方の元へと向かった

あるところに 羊飼いの夫婦がいました
彼らは野に住み 他の人とは遠く離れて暮らしていました
彼らの羊は少なく その野には食物となる草が少なかったですが
彼らは羊たちを飢えさせることなく 渇くことのないように 養い続けました
彼らには子がなく また 彼らも老年でしたが 喜びの子が与えられるように祈り続けていました
彼らを見て その家族である羊たちを見て 心を留められた方が 彼らに恵みを施しました
それは 何の前触れもなく 彼らに油が注がれ 人もいないのに彼らは語り出しました

日々我らを担い これを養い育ててくださる方はほむべきかな
あなたが我らに喜びを与えてくださるということを 我らは信じて疑いませんでした
その子は一つの杖を持って人々を治め 外から来る災いを退けて 汚れた水をすべて洗い流すだろう

そして 羊飼いの妻は身ごもり その月が満ちて一人の子が生まれました
しかし その産みの苦しみは大きく 羊飼いの妻は疲れ果ててしまいました
彼女は子を見て安らかに眠り 羊飼いはそれを見届けました
子は羊飼いの腕に抱かれて 外に連れ出されました
星空の下 羊飼いは子に空を見せて言いました
わが子よ あなたはあのようになるのだ
あなたは星の一つとして輝き この地を照らすのだ
あなたの光によって生き延びるものがいる
あなたの輝きによって 導かれるものがいる
あなたはそのものを知らないかもしれないが 彼はあなたを知っている
そして あなたの口から語られる方を愛するだろう
あなたはその輝きとなる火を灯されたのなら それを保ち 消さないように気をつけなさい
そして 近くのものにそれを分かち合い 希望を灯してあげなさい
それは小さくとも この世にはない輝きを放っているのだから
子は幼く そのことばの意味を理解できなかったが 心の底にとどまり 来る時までそれは封じられていた
羊飼いは家へと帰ると 子を祝福して 妻の横で眠りについた

羊飼いの少年は 一人残されましたが すぐに羊が寄り添いその体を温めました
少年は手を伸ばして羊を撫で そのときから羊たちを飼い始めました
彼の父と母が祈った方が 少年を恵み 自分の歩むべき道を明かして すべて必要なものを施されました
それ故 彼はたくましく育ち 内も外も立派なものとして成長しました