第26話 その5

羊飼いの少年は 少女たちを家に招くと 料理を振る舞った
それは凝乳や乳でつくった菓子 種を抜いたパンであった
一同は食卓につき 感謝を捧げて食事をした
それらは口に甘く また生きた味がして 少女たちの舌を喜ばせた
羊は口の中のものがなくなる前に 次のものを口に運んで 息つく暇もないほどだった
少女は羊を撫でつつ しっかりと味わっていた

一同が食事を終えると 羊飼いは尋ねた
どうしてここへいらっしゃったのですか
ここには人の望むようなものはありませんし かえって身に危険を招くところです
私たちは絶えず私たちを作ってくださった方が守ってくださっているので安全ですが
あなたがたはどうなのですか
少女は答えた
私たちは 近くにある町を治めるべき人を探していました
そして 私たちは 私たちを導いてくださる方によって恵みを得ているので 害を受けることはありません
私たちは野には何もなく 森の方へと近づいていましたら 羊が別の方向へと向かい そこでこの小さな羊さんを見つけたのです
女性は言った
私たちは この辺りを知りませんが 人を見る目はあります

だれが誠実なものを見出し得ようか だれが聡きもの 治めるにふさわしいものを見つけ出そうか
彼は人を作られ 己の秤に応じて それぞれに賜物を与え その役割にふさわしく育てられた
彼の旋律によってことはなされ 彼の指揮によって物事は動いた
彼はすべてのものを治める故 それは素晴らしく 美しい
彼は自ら作り出したものに それぞれの地を治めさせ 王たちが正しく治めることのできるように 彼らを戒められた
彼に忠実なものは 彼のように治め 彼を愛するものは 彼のように恵み深い
王を試みてはならない
炉で試されるべき器が 炉を試すことができようか
そうしようとする性質は 燃える火に焼き尽くされるのだ

女性は 羊飼いの少年を見つめて言った
あなたには 治める力と 汚れていない心がある
なたが自分自身や周りのものを治めるように 町を治めようとは思いませんか
羊飼いの少年は 首を振った
いえ 私が離れれば この子たちは飢えてしまうでしょう
私がいなくなれば 誰がこの子たちをみるのですか
女性は答えた
治めるものは 自分に従うものを建て上げるものではありませんか
あなたは 自分の子たちを任せる人を見出して その人を教えなさい
あなたは野に芽吹いた若枝のように人知れず育ち 全能者の恩恵を受けてそれを知り 日々感謝を捧げています
あなたはただ 良いことを知り その方を知っています
だから あなたにふさわしい実を結びなさい
枝がその育つのにしたがって さらに分かれていき 多くの実を結んでいくように
あなたは 自分にふさわしいものを見出して あなたに引き寄せなさい
大丈夫 あなたが患うまでもありません その人はきっと 向こうからひかれるようにやってくるでしょう
羊飼いは女性を見つめたが 返すことばはなかった