第26話 その4

そこには一人の羊飼いがいた
彼は小さい時から一人で育ち また自然が彼をはぐくんだ
彼は風の語ることを聞き分け その分をわきまえ 人の言葉によらずに学んでいた
彼は野の獣とともに住み 彼のそばにいた羊たちとともに過ごして 羊たちを守っていた
彼にとって 羊は友であり 家族であった

彼は毎日羊たちを導き 野の草を食べさせ 水を飲ませるために川へといざなった
そして 彼らの食事の間も 寝ているときも ほかの害を与える獣が来ないように見張り
あらわれたときは 身を張って戦った

ある日 彼はいつものように羊たちに草を食べさせ 川へと移動しているとき
その中の一匹がいないことに気付いた
彼は大急ぎでその周囲を走り回り 声を上げてその羊を探しに出かけた
それは日の導くまま 風の語るままに それはその方の敷かれた道をたどるように
彼は 子どもたちの元へと歩いていった

それは 草をかき分けて探した末に見出した宝のように
藁に埋もれた卵を掘り起こして見つけた時のように
羊飼いの少年は 自分の叫び求めた小さな羊を見つけた

羊飼いの少年は 羊の隣で伏して眠っている小さな羊を見つけて駆け寄り その身を抱いて言った
我が子よ ようやく見つけることができた
そして 天を仰いで言った
悪い獣に襲われることなく こうして日のあるうちにこの子の元へと導いて下さり感謝します
私たちを日々やしない 守り育ててくださる方に 栄光があるように

羊は やってきた少年を見つめ 驚いたが 小さな羊の反応を見て めえ と鳴いた
少女と女性は 小さな羊が少年に抱き上げられてあくびをしているのを見て 喜んだ

羊飼いの少年は 少女たちに言った
あなたがたが この子をここに止めてくださっていたことに感謝します
この子はまだ小さく 少しでも悪意のあるものがいれば怯えて動けなくなるのですが
どうやら安心しきって眠っていたようです
私が来るまでこの子を守ってくれてありがとうございます
少女は言った
この子が穴に落ちていたのを見つけてすぐに助け出したら
安心して眠ってしまったのよ
今日は日差しも柔らかくてお昼寝にはちょうどいいもんね

羊飼いの少年と少女たちは 水のほとりの置いてきた羊の群れのところへと向かった
羊の群れは各々水を飲んで身を潤し 地に伏していた
羊飼いが声をかけると 羊たちは立ち上がって 彼に従っていった
羊飼いの少年は言った
さあ せっかく会うことができたのですから うちに寄って行ってください
ぜひ ご馳走させてください
少女たちは喜んであとについて行った

はじめに ことばがあった
ことばは蜜を滴らせ そのままで食べることのできるものであった
ことばはすべてのものを生じさせ すべてのものの実を結ばせて 中に種をはらませた
ことばはすべてを整列させて 種によって選り分け その名となって彼らに意味をもたせた
それは完全で 秩序によって従えられて 互いに組み合わさることで それを語るものに栄光を還した
それは杖のように 養うべきものを従わせ これを聞くものの心を肥やす
これを扱うものは 心せよ
あなたの語ったとおりに その口の宣言のとおりに その身に帰り 祝福は祝福を のろいはのろいをはらんで生じさせ それを語ったものへと報いるのだから