第25話 その5

王女は先頭に立って歩き 子どもたちはその後についていきます
小さな魚は少女の持つコップから顔をのぞかせあたりを見ました
町は行き交う人でいっぱいでしたが 王女の進む道は人とはぶつかることはなく安全なものでした
魚は町の人々を見ました
彼らは自分のすべきことのために働き 目的へと向かっていましたが
その目には熱がありませんでした
すべきことをこなすためだけに日々を生きていて そこに情熱がなく 追い立てられるように生きているように見えました
そして 彼らのもたらすものが 魚の親たち 大人たちの食べていたものの匂いに似ているように感じました

王女は花の言葉の導くままに進み その地の領主の屋敷のところへとたどり着きました
窓からは 中で働く人々が慌ただしく行き来していて 町の人々のようでした
王女は扉をノックすると 行きよいよく扉が開かれ 人が出てきました
何かご用でしょうか
王女は言いました
この花を届けにきました
ここのご主人さまに合わせていただくことはできますか
その人は かしこまりました といい すぐに屋敷へと入って行きました
そしてすぐに 中から領主である老父が出てきて 王女たちを見て驚きます
王女は言いました
この花が あなたのところへと導いてくださいました
これはあなたのものです
どうぞお受け取りください
老父は花を見つめて 言いました
私が願ったのは この花なのか

王女は老父を見て言いました
願いとはなんですか これはあなたのものではないのですか
老父は答えました
これは私のものではないだろう そして 私の求めているものでもないだろう
私はこの屋敷とこの領地の後継を探しているのだ
先ほどあなたがたより先にある人が訪ねてきて その人が言ったんだ
このあとにその人の子どもたちが来るから その子たちにあなたの願いをいいなさいと
しかし その答えは この花だった
私は花を求めているのではなく 私の子を求めていた 私たちの住んでいるこの地の未来を求めていたのだ
王女は領主である老父を見つめて 言いました
では これはあなたのものです これはあなたのものになります
その上で私たちについてきてください
あなたの手を止めて いますぐすべてをおいて私たちに従ってきてください
その先で 私はあなたに光を見せます
老父は王女を見て その瞳を見ましたが そこには自分にも周りの人々にもない輝きを見たので 彼女に従うことにしました

その方は枯れかけた木に語りかけると その根に肥やしをやり 不要な枝を切り取って 水を注いだ
そして言った
あなたは 自分の結ぶべきものだけのために 生きなさい
あなたがすべきことは 日々を送ることだけではない
その先に結ばれる希望の実のために それに望みをおいて成長しなさい
木は老いていて 表面は硬くなっていたが そのことばにより うちにみずみずしさを取り戻した
あなたは言ってはならない
私の望みは絶たれた と
あなたは言ってはならない
私は枯れ木だ なんの実を結ぶことができようか と
あなたの花は わたしがつけ その実はわたしによって結ぶのだ
それは世の初めからそうであって すべての被造物は昼も夜もそのことを語り継げている
あなたは知らないのか あなただけが世界から切り取られ あなただけが別の場所 わたしの作っていないところに存在しているとでも言うのか
あなたはわたしの手の内にあって 麗しい幼子のようであり わたしの恵みを受けるにふさわしいものだと知りなさい
わたしにとって遅いということはない
すべてがわたしの記したことのとおりであって それはわたしの父がすでにいい送ったことであるのだ
あなたはわたしを着なさい あなたの力ではなくわたしの力を着なさい
我が子よ あなたの道を知りなさい