第24話 その6

正しい行い あなたのきよきことばは 淀んだ心をすすいでこれをきよめ
我が心はこれによって養われ あなたの蜜よりも甘く金よりも尊いいのちのことばによって建て上げられる
あなたの愛によってうちから強められ 細い杖すらこのことばのゆえに太く力を得る

若者はあなたの声によって奮いたち 力のないものにあなたは自らの衣を着せて 勇士とされる
あなたはわきまえのないものにことばを与え 進むべき道を明らかにし
知らずに犯した罪を覆って あなたの備えられたなすべき務めに導かれる
ひしがれた心さえ そのことばと愛のゆえに新たにされ
あなたのあわれみによって あなたの望むままにつくりかえられる

小さいものも 幼いものも 皆あなたを仰ぎ見 その口にあなたをほめたたえることばを受ける
それは 日々あなたの口から出ることばによっていのちを得 あなたのことばによって息をするからである
我が作り主である方は 私を今日も見つめ 私を喜んで歌われる
あなたによって救われ 体を洗われ 沈んだ心も あなたの喜びを受けて大きくなる

我が父よ 今日もあなたは私とともにおられ 私をあなたの歌へ招かれます
あなたが歌い あなたが踊られるので 敵はおののき 退きます
あなたはこれらの目の前で私のために食事を整えられ そこにあなたの愛を注がれる
それはどんな食物にも勝り どんな酒や濃い酒よりも好ましい
すべてのものを作られた方 いまなお紡がれる方は 私の隣にいて その良いものを受け取らせてくださる
私はあなたを求め あなたを探り続けます
あなたが私たちに 目のとめられるように ご自身の栄光の欠片を 宝石をちりばめるように置いてくださっているのですから

その方は天を仰ぎ 目を細めて 口を開かれた
子たちよ もう一つ 話をしよう
あるところに青年がいた
青年は自分がめとるもののために財産を築き 家を用意していた
しかし 青年にはまだめとる相手 将来を約束した相手がいなかった
青年は仕事をし 自分に与えられた役割をこなしていたが 先が見えないために心に不安があった
青年は父に言った
私の妻となる方は どこにいるのですか
父は読んでいる本から顔を離し 青年に答えた
あなたが待つにはおよばない
あなたはいままでこのために準備をしてきたのだ
あなたが妻となる人と結ばれて住む家は完成したのか
青年は父に答えた
はい もう出来ています
父はそれを聞いて微笑み 青年に答えた
では 私が示すところに行き 妻を迎えなさい
ただし その人を迎えて自分の妻とするまでは あなたはその人に触れてはならない
いいかい これは守るべきことだ やぶってはいけない
青年は頷き はい と答えた

青年は家を出て 父に示されたところに行き 自分の妻となる人のいるところへ向かった
青年は この度生まれて初めて自分の育った町を出 自分が過ごしていたところが あまりにも守られていたことを知った
そして どれほどに豊かに恵まれて育ち 愛の中で成長したのかを知った

青年の目の前には 吊橋があった
紐や足場の板は古くなり あまり長くは持ちそうになかった
青年は静かにそこを渡り 目的の地に急いだ
そこに着くとすぐに 自分の迎えるべき人を見つけた
青年は喜び急いでその人の荷物を整えさせて 妻とするために自分の町へ戻ることにした
そして 青年は古びた吊橋のところへと差し掛かった
青年は急いでいたため 心が早まり 二人同時にその橋を渡ろうとした
すると 紐が切れて解け 橋は崩れかけてしまった
二人は驚き 足を踏み外して落ちそうになった
青年はとっさに自分の妻となるべき人に手を伸ばし その手を掴んで落ちないようにした
二人はやっとの思いで対岸へと渡り 安堵したが
青年はその後に気づいた
自分は父の戒めを破った

そのあとは 二人とも口を開くことはなく 静かに青年の家へと向かった
父は喜んで二人を迎え 家へと招き入れた
すると 青年は言った
父さん 私はあなたの戒めを破り 私の妻となる人に触れてしまいました
父は青年を見つめ そして 青年が連れてきた人を見つめた
そして 口を開いた
あなたは 故意にそれを破ったのか
青年は 顔を上げて 自分の妻となる人に触れた時のことを話した
父はその間 青年の顔を見つめ続けた
青年は語り終えると 再び顔を伏せた

父は言った
あなたは自分の意思で それを破ろうとして破ったのではなく
自分の意思で あなたとひとつとなるべきいのちを得たのだ
あなたは自分のことを顧みず まだ他人であったあなたの妻を あなたは救ったのだ
父は青年に近づき 抱きしめた
あなたは良いことをしたのだ
どうして私は責めることができようか
私は このことに目を留めない
いや このことのために あなたを喜ぼう
あなたは自分のいのちを繋いだのだ