第24話 その5

少女と羊は その方のことばを聞いたとき 心に火が灯って燃えるような感じがした
それは 恵みが内に注がれ 受け取って糧としたからであって その方は彼らにご自身のいのちのパンを分け与えられたからである
女性はその様子に目を細め そして 空を見上げた
月と星の輝く向こうに 白く広がる空があった

あるところに 召使の少年がいた
少年はあくせく働き 昼も夜も息つく暇のないくらいに 仕えている屋敷の中を行き巡り 仕事をこなしていた
少年はそれが幸せであったが 自分の体を顧みなかったために 痛めてしまった
そのため 少年は休まざるを得ず 床に伏せた
少年は薄暗い天井を見上げて 思った
私は自分の楽しみがなくなった
私は年老いて死を待つ老人のようだ
それは 少年が内にある問題を無視していたために それがうんで腐り始めていたからである
少年は誰にもこのことを相談せず また 解決を切に求めなかったために 体を苦しめ 与えられたいのちを削ってしまっていた
少年は 自分の体が朽ちていくのを見て ようやく自分の求めるべきものを悟ったが
目の前のことに囚われていた故に それを口に出すことはなかった

すると 少年の寝ている部屋の戸がノックされた
それは この家の主人で会った
少年は起き上がろうとしたが 体が動かず 声を出すこともできなかった
主人は少年を見て近づき 目を見つめた
そして 主人は少年の前で踊り始めた
少年は呆気に取られたが 主人は部屋いっぱいを使って駆け回り 少年のために踊り続けた
時には歌い 時には賛美し 主人は少年のために それを行い続けた
少年は思った
あなたが 踊ってくださるのですか
あなたが 私のために踊ってくださっているのですか

これは 少年が気づかなかっただけで 主人はいつもこのようにふるまっていた
少年は召使であったが 子と同じようにあつかわれ 周りのものも主人と心を同じにして 少年に接していた
少年は自分の行うべきことだけに目を囚われていたが 主人はそのそばにいて いつも少年に心を注いでいた
少年は目が開かれ それを悟って涙を流した

あなたが 私といてくださっていたのですね

少年の口から そのことばが溢れたとき 内にあった問題 少年にとって不要なものは流れ出て 取り去られていった
主人は踊りを終えると 少年の手を取って起き上がらせ そして言った
わたしとともに踊りませんか