第23話 その16

少女たちは武器や棒を持って扉を壊し 中に入って鎖に繋がれている子どもたちを救い出した
中には床に穴が開き水面が見えるところもあった
その部屋は 黒い液体で汚れていて 鼻をつんざくような匂いがした
そして最後の部屋の扉も壊し 少女たちは中へと入った
すると そこには何かを咀嚼する怪物がいた
それに気づいた少女たちは攻撃をしようと構えるが その方が前に出て制した
そして その方は怪物に触れて鱗を撫で 言った
もう あなた自身の肉を食べるのをやめなさい
少女たちはそれを聞いて目の前の光景にぞっとしたが 同じことばを聞いた怪物は 悲しげな鳴き声をあげ その方を見た
その方は言った
あなたも 彼らのように 自分の報いを得に行きなさい
怪物はそれを聞いて声を上げ 水の中に潜っていった
少女はその方に言った
あの怪物はどこへ行くのですか
その方は答えた
最後の肉を喰らいに 自分を獣へと貶めたものの肉を喰らいに行くのだ
この船も すぐに沈むだろう
しかし 救い出した子たちのためにも わたしたちはここを出るとしよう
救われた子たちは いままでは何も答えず 虚ろな表情をしていたが
ここを出ると聞いて泣き声をあげ 涙を流した

怪物たちは船を食い荒らし 大半は壊れて沈んでいった
その方たちは沈む前に自分たちの船に乗り 川へと漕ぎだした
怪物たちが船の中にあるものをあらかた食い尽くす頃には 雨も弱まり 雲の切れ間から日が差した
すると 怪物たちはみな その日を見て 顔を向けた
その方は怪物たちに言った
あなたがたの行いは 決して良いものではない
しかし あなたがたを売り その肉を食べたものたちは もういなくなった
無知なものと知らずに犯した罪は その責任を問われない
あなたがたがしたことは あなたがたが行くところへは 持っていくことはできない
怪物たちはその方を見て 細い叫びをあげ みな溶けていった
彼らはその姿を消し その魂は底へと下っていった
それを見て 船の中にいた子らは泣いたが その方は彼らを抱き 涙が流れなくなるまで 寄り添われた

声無き声は 錆びついた泥のように 獄の底を汚した
しかしそれは 光によって拭われた
血のような涙は 届かなかった叫びは まことの光によって拭い取られ 縛っていたものを解き放った
彼らは彼らを生んだ方の元へと引き取られた
地の淵につくまえに その御手によって救い上げられ 御胸に抱かれた
彼らを抱いた方は 涙を流し それは雨となって地に降り注いだ
それは虹となって 空を結ぶ架け橋となり まだいのちあるものたちを結び 彼らの親たちと子たちとを結ぶものとなった

船の大部分は沈んだが 上層部は無事であった
あまりに高いため 怪物たちも食いつくことができなかったのである
そこにいた人々 子を奪われ その喜びを盗まれたものたちは 自分たちから取り去られたものたちが 小さな船に乗ってこちらへ向かっているのを見た
その先頭にはその方がいて 大声で叫んで言った
子をなくし 悲しみにくれるものたちよ いま 自分の慰めを受け取りなさい
自ら罪を犯してはいないものたちよ あなたがたの子らを受け取りなさい
その声を聞いた人たち 王女が避難させた人々は 船の窓から 外へとつながる廊下から 縁から その方の船を見た
そこには 自分たちがかつて育て 奪われた喜びの子たちが こちらを見つめていた
彼らは目を合わせるやいなや 泣き叫び 大人たちは水に飛び込んで船に近づいた
他の人々は 無事な船を漕ぎ出して 泳いでいる人々のところへと向かい その方のところへと向かった
その方は大人たちを引き上げると 子どもたちは自分の親に飛びつき 親も子どもを抱きしめた
人々はその方の船には乗り切らなかったので 自分の子どもを抱いた親は近くまで来てくれた船に移っていった