第23話 その14

船の上では 人々がおじまどっていた
それは 川から魚の怪物が群れを成して船を襲い始めたからである
すでに雨も降り出し 川の水量は増していった
少女たちはそれを見て 自分たちのすべきことを始めた
王女は人々に命じて 好き勝手に動くようなことをせず 流れに沿って退避するように
女性は王女の補佐をして 人々を導いた
少女と羊は船の出口 川の方へと向かい ともに武器を取り出して戦いに挑んだ

その方は 子どもたちが行くのを見て 奴隷商人のところへと行った
それは船の船長であって 子どもたちにおやつを売ったものだった
その方は船長に近づき 肩を掴んで言った
あなたはどこへ行こうとするのか
船長は振り向いて答えた
この船はもう終わりだ
雨も降り始め 船の近くには怪物どもがいる
私がどこへ行こうと 私の勝手だ
その方は言った
あなたが逃げようと あのものども 川に潜み襲うものたちはあなたを追うだろう
それは 彼らがあなたから漏れ出すもの あなたたちから流れるものに引き寄せられてこの船に来たからだ
すでにあなたがたがくびきを負わせた子たちの叫びは聞き届けられた
その報いは あなた自身に帰ろう
船長は顔色を変えて叫んだ
子が親のために 大人のためにいるのは当然ではないか どうして叫ぶのか

子どもたちはそれぞれ持っているものを用いて 船の窮地を切り抜けようとした
王女と女性は なるべく船の上の方に人々を向かわせ 怪物や溢れる水に巻き込まれないようにした
少女は祈りのことばを紡いで 武器を持ち 襲い来るものどもを迎撃した
羊は本に筆を走らせ それを書き終えるたびに本を閉じ 再び開いては書いたものを解き放ち 怪物を縛り上げ 川の底へと返していった
しかし 敵の勢いは増していき 雨の降りも強く 波が大きく立ち始めた
それにより船は揺れ動き 足を滑らせるものも出てきた
少女たちも身動きをとりにくくなり それを見た怪物どもは 隙をついて船に穴を開けはじめ 積荷を喰らい始めた

その方は言った
土台がその上にあるものに どうしてあなたは私の上に乗るのか というだろうか
また 上に乗っているものが土台に どうしてあなたは私を支えるのか というだろうか
土台が据えられたのは その上に家を築くためであり 両者ともそれを建てるものが作ったのだ
彼の意に沿わないものは みな捨てられる
あなたのしていることは 愚かなことであり 捨てられるべきことである
子がないものは どうすればいいのか 祝福を取られたものはどうすればいいのか
種なくしては実を結ぶことはない 蒔かずして刈り取ることはできない
その労苦を惜しんで種となるものを食べるのならば 後には自分自身の肉を食らうだろう
あなたは いま何をすべきかを知りなさい
自分の腐ったものを切り離して 子たちをいるべきところへと返すのか 自分のいのちをちりに返すのか
船長はなおも叫んだ
知ったことか 私のものを私の思うままに扱うことの何が悪いのか