第23話 その13

子は叫ぶことをしなかった 叫ぶことを知らなかったからだ
まだことばを知らず 自分は何が幸福で不幸なのかを教えられなかった
それゆえ 子はことばを発することをせず ただ溢れる涙が床に流れただけであった

また 連れ込まれた家は 不法の家であった
それは不正を行うためのやぐらであって 利得を貪るものの目が光っていた
子はそこのくびきを負い 生まれた地から遠くへ売られに行くのであった
その家のあるところは悲しみを呼び それを洗い流すために 大きな雲が起こった
世の悲しみは死をもたらす それが地にとどまることはあってはならない
なぜなら この地は生ける方の作られたものであって いのちに溢れる方の御手によって敷かれたのだから

少女たちが光を頼りに進んでいくと そこの扉だけ 少し空いていた
どうやらこの部屋から湿気の濃いものが流れているようであった
少女は扉に手をかけて開けた
すると 杖の先に結びつけてある花の光が 部屋の中を照らし 中にいるものの目を刺した
中にいたものは水音を立てて消えてしまった
少女たちはその音を聞いて中に駆け込み そこにあったものを見た
部屋の床は大きく穴が開けられていて水面が光を反射した
人の影はなく ただ衣の切れ端や黒い液体が辺りに飛び散っていた
羊はその液体の匂いを嗅いだ
それは鼻をつんざくようなもので 驚いて顔を引っ込めた
少女は羊を見て この黒いものが何なのかを聞いた
羊は少女を見て めえ と鳴いた
これは 錆びたような香りがする と伝えようとした
少女は床を見つめたが これが何かわからないため 部屋を出ようとした
王女と女性は少女たちが部屋に入っていき その後ろから部屋を見たあと すぐに隣の部屋へと向かった
他の部屋はどうなっているのか 人がいるのであれば助けださねばならない
王女たちはそう思い 他の部屋の扉に手をかけた
すると扉の奥から大きな音がし 王女たちは急いて入ろうとしたが そこには錠がつけられてあった
少女たちも音に気付き 王女たちのところへと行き 杖で錠を破壊して中へと駆け込んだ
そこには 船の底で見た変な魚の怪物が 何かを食っていた
少女たちは目を見開き それぞれ祈りのことばを紡いだ
血を流すものの報いが そのこうべに帰りますように
淵にうごめくものに あなたの光が刺し通され その仕業を打ち砕いてください
少女は祈り 持っている杖と鈴を槍のように変化させ構えた
羊は筆と本を取り出し 本を開いて文字を刻み始めた
魚の怪物は子どもたちに気づき こちらを威嚇した
少女は槍を持って進み 怪物に向かって突き出した
怪物は槍の先に当たると その鱗を貫いたので 叫び声をあげて水の中へ戻ろうとした
羊は文を書き終えると本を閉じ 再び開いて解き放った
それは光となって逃げる怪物を捕らえ そのものを縛り上げた
水の中へと沈んでいく怪物を 少女たちは見たが 光る鎖が水の中を照らし 他にも怪物がいることを明かした
少女たちはそれに驚き そのことをその方へと伝えに行こうと部屋を飛び出した