第23話 その10

そこへ 一人の男の人が通りかかった
羊は足音にびくりとして 少女の背後に隠れた
少女たちは男の人の方を見た
男の人は少女たちを見て声をかけた
君たちは この船の乗客かい?
少女は答えた
はい 泊まる予定です
男の人は少女たちを値踏みするように見つめ 言った
そうか 泊まるのであれば あまりうろつかないほうがいい
ここにはいろんな人がいるからね
少女は答えた
大丈夫です 自分のことは守れますから
男の人は笑って去っていった

羊は震えつつ 男の人の背中を見た
その背中から香るものは良いものではなかったため もう一度身震いした

少女たちは 下の階に移動すると 人々がざわめいていた
少女たちは 人々が何を話しているのかを聞こうとして 声をかけた
あなたがたは何のために 話し合って騒いでいるのですか
声をかけた人は答えた
どうやら船に穴が空いたみたいなんだ
すぐに塞がれて 水漏れもないみたいなんだけど 私は用も済んだし そろそろここを出ようかな
そういって その人は立ち去った
王女は 騒ぐ人の群れを見て 言った
ねえ 私たち以外に 子どもはいないのかしら
少女たちは 周りに目を向けた
羊はまた身を震わせ 少女にひっついた
少女たちは 王女を見て言った
確かに 見当たらないけれど それがどうかしたの?
王女は言った
何かよくないことを感じるの
水の底にいる変な魚や その方の見たっていう黒い雲と同じようにね