第23話 その9

木がその枝を食べるなら 実は結ぶことはない
種が身を惜しみ 芽を出さないなら 実を結ぶことはない
人が自分のために子どもを焼いて食べるなら そのものの嗣業は受け継がれることはない

ある人が 国を歩いていた
その人は子どもを連れてどこかへと向かっていた
その家は貧しく その人は子どもを働きに出させようとしていた
その人は 知り合いの商人のところへ行き 自分の子どもを預けて用のために使ってほしいといい その賃金を先に受け取った
商人は子どもをどこかへと運んでいき そのままいなくなってしまった
別の人も子どもを連れて来て 商人に渡し その分の賃金をもらい去っていき 子どもは商人に引かれてどこかへ行き いなくなってしまった
商人は車や船を用いて遠くの国と交易していた
商人はたくさんの商品を持っていき そこで売り買いしていた
商人の財産は大きくなり そこで働くものも多くなっていった

さて 血によって建てられた家は 長く続くだろうか
その血は 流したものに向かって叫ばないだろうか
血はいのちであって 流したものの報いのために 正しい証言をする
血は言う いつまでこのようなことが続くのですか いつ彼はさばかれるのですか
子どもの首に輪をつけて引いていく商人は 自分の手が黒くなっていることに気付かない
その手はさびて どうすることもできないことに 彼は気付くことがない

羊は本を閉じると 身震いした
少女たちは 羊の書いているものを見ていたが そのことが何のことかわからなかった

この船は人や物を運ぶには 大きすぎた
表立って歩いている人々を乗せるには 大きすぎた
そして 羊たち以外に 一切子どもがいないことに 羊たちもまだ気づいていなかった