第23話 その6

おい 誰か来てくれ!
叫ぶ声が聞こえた
人々は声のする方向を見て 子どもたちも顔を向けた
一人の男性が仲間に何かを慌ただしく伝えていた
子どもたちは気になり 人々の間をぬって そこに近づいた
叫んだ男性は 仲間に小さな声で話していたので ほかの人は聞き取れなかったが
その話を聞いた仲間も顔色を変えて 叫んだ男性についていって 階段を降りて行った
王女はそれを見て言った
なにが起きているのか 行ってみましょう
少女たちは頷いて 男性たちの後を追った

男性たちが向かったのは 船の下底部分で 長期保管している積荷を置いている場所であった
男性たちは その最下部をさして言った
あそこだ あそこから水が漏れ出している
急いで塞ごう
何人かははり合わせる板や 釘などを取りに行き 他のものは水を汲み出す為の器を探しに行った
少女たちはそこに近づき 底を見た
穴が空いていたが 水が少し入っているだけですぐに沈む感じではなかった
子どもたちは 水底を覗くことができるので顔を近づけた
光が少なく あまり見ることはできないが 普段見ることができない故に新鮮さを感じ 興味を駆り立てた
すると 羊は身震いをした
王女はそれに気付き 少女に言った
灯りを出していただけますか?
少女は頷き 杖と鈴とを取り出して 祈った
我らの周りを照らす明かりを あなたの息によって灯してくださいますように
そのことばに反応し 杖と鈴とはかたちを変えて ランプのようになり 明るい火が灯った
火は水を照らし出し その中にうごめくものをあらわした

羊はそれを見て驚き 一足退いた
少女たちも目を開き それを見た
水の中に動きまわるそれは 船をもらった釣り人の村にいた 干されていた気味の悪い魚な姿だった
それは長い尻尾を持ち 干されていたものよりも大きく 身体中に生えるトゲや牙は 一層鋭く尖っていた
トゲの魚は明かりを見ると移動し 見えなくなってしまった
王女は言った
あの気持ちの悪いものはなんなの
女性は言った
あれ 前にいた村にあったものに似てましたよね
私が触ってしまった危ない魚に
少女たちはうなずき 汗を流した
汚れを食んだものが まだ生きていたのだ
おそらく それが船底を傷つけ 穴を開けたのだろう
早くあれを釣り上げなければ また船に穴を開けられるかもしれない
少女たちはその方にそのことを伝える為に そこを離れた

その方は 子どもたちが出て行った後に 外を眺めた
その先には 食事中に見た黒い雲が より大きくなって こちらに近づいているように見えた
さて わたしも動くときがきたようだ
その方は席を立ち 子どもたちのいる方へ向かった