第23話 その5

人の作った箱には 雨が降り注いだ
それは 箱の上からも その周りにも降り注ぎ 水かさを増していき 箱は地から離れてしまった
人々はその中で 来たる時に望みを置いて 自分たちの乗っている箱がどうなるかを 気にも留めなかった
自分たちの役割は 完了した あとは 望みを刈り取るだけだ と
人は 自分たちの業に信頼し 人自身に信頼した
そして 自分たちを作られた方を軽んじ 心の赴くままに夢を見 それに至ると考えていた

さて その地を襲った災い あらかじめ語られていたことばは そのとおりに水を降らせ 地を洗ったが
それを行った方は 箱をどうご覧になっているだろうか

子どもたちは食事を堪能した後 船を見て回りたいと言った
その方は 子どもたちを見て言った
気をつけて 行ってきなさい
様々なものが行き交い 人やものが動いている
あなたがたはそれらに影響されないように 引き込まれないように気をつけなさい
わたしはここで待っている
だから 安心していきなさい
子どもたちは頷き 皆そろって歩いて行った

王女は顎に手を当てて 考えながら周りを見ていた
これほどに大きな船の中 港代わりの機能をはたしているのは どういう仕組みなのだろうか
あの国にも 大きな川と そこから分かれて四方に川が流れている
この船の仕組みを学べば より流通をよくすることは可能ではないか
少女は 考え込む王女を見て 王女の耳に顔を近づけ こっそりと言った
自分の考えにのめり込んじゃダメだよ
解決はどこから来るのか あなたは知っているのだから
王女は ハッとして 先ほどその方が言っていたことを思い出した
そして 少女に礼を言って 二人は手をつないだ

女性は 一つの看板を指差して言った
あの場所から おいしそうな香りがします!
少女たちは女性を見て 先ほど食べたばかりなのに まだ食べるのか と思ったが
その笑顔を見て苦笑し その店のところまで行った
店の主人は顔を出していった
かわいいお客さんたちだね 何か注文するかい
王女は看板のメニューを見て 再び考え込んだ
食べたばかりで 食事は喉を通らぬだろう
飲み物か 軽いものを分け合うことにしようか
すると 女性が店の主人に言った
ここのおすすめと書いてあるものをくださいな
店の主人は おう まかせときな と言って 奥へと入っていった
少女たちは 女性が頼んだものを見た
それは どう見ても食事のサイズの料理であった

少し経って 店の主人が奥から出てきて 女性に注文の品を渡した
女性はお礼を言って 代金を支払い それにかぶりついた
それは クリームのような白いものに赤い果実を混ぜ 麦粉を水で溶いたものを薄く伸ばして焼き それで包んだものだった
女性は 一口食べた後 ほおに手を当てて おいしい と叫んだ
店の主人も それを見てご満悦なようで 少女たちにもと 小さく切り分けたものを渡した
少女たちは 小さく分けていても ボリュームのあるそれを恐る恐る口に運んだ
そして 女性と同じように おいしい と叫んだ
ふっくらと膨らんだ麦粉の生地は 見た目ほど詰まっておらず 空気を含んでふわふわとしていた
また クリームのようなものは生地や果実を程よくまとめて 食欲を促した
四人はあっという間に平らげてしまい その後店の果実のジュースを頼んで 皆で分け合った