氷と雪のお城

寒い国のお城の中に 王女様が憂い顔で空を眺めていました
はあ どうしてここはこんなに冷たいのかしら
お城は 何から何まで氷と雪でできていて
温めるものは 何一つありませんでした

それでも お城の人は 何食わぬ顔で暮らしていました
でも 王女様は違いました
なにかおかしい

王女様は お城の柱にかぶりつきました
すると 口の中はひんやり冷たくなっていきます
やっぱり冷たい
これじゃダメ なにか温めるものは…

王女様は お城中 温めるものを探しましたが
氷と雪でできた建物の中に そんなものはありませんでした

肩を落とす王女様
ふと 扉の開いていた部屋に入ります
そこは 図書室でした

王女様は 机の上にあった絵本を手に取り 読み始めます
それは ここと同じ寒い国の話でした
その国は 一年中雪が降り 春が来ることはありませんでした
食物が育たず 動物も寄り付かず 食事に乏しい国でした

そこに住む王子様は 弱りはてた民を見て 必死に祈りました
どうか 冬で閉ざされたこの国に 春が来ますように
食物が豊かに与えられ この人々が 飢えてしまわないように
どうかお救いください

すると天が開かれ すぐにその願いは聞き届けられました

その国には 春が訪れ 草木が芽生え 獣も住むことができるようになり
豊かな土地になりました

それを読んだ王女様
これが足りない! と祈り始めました
天の神さま どうかこの国を温めてください
春を届けてください
ここがこんなにも冷たいのはおかしいです
この絵本のように この国も変えてください

すると どこからか声がして 王女様に語り掛けました
その建物を出て 少し離れた丘の上へ行きなさい
そこで あなたの見たいものが見れるから

王女様は驚きつつも 喜んで丘の上へ向かいました
すると 空を覆っていた雲が晴れて 地上を強い日差しが照らします
風も温かくなり 氷と雪が解け始め お城がどんどん小さくなっていきました

王女様は 大声で叫び 喜び歌いました
絵本に書いてあることが 本当に起きた
神さまが 叶えてくれた
ありがとう神さま

その国に 春が訪れ すべての氷は溶けて 大きな湖ができました
やがて 草花が豊かに生え 蝶が舞うようになり
美しい都へと変わりました

王女様は それからも毎日祈りました
感謝の歌を歌い いつも喜び踊りました