伝書鳩の話

一羽の鳩がいた 飼い主の書いた手紙を届ける仕事をしていた
その鳩は 毎日手紙を送り届け 食物である木の実をいただいていた

鳩は あるとき 手紙を見ることを許された
鳩は文字を見たことがなかったため 手紙を見てもわからなかった
ただ 心が温かくなることだけ 感じることができた

その日も 鳩は手紙を運んだ
その日は 雨雲が鳩の上にとどまっていた
そして ぽつぽつと降り始めた
鳩は焦った このままだと 手紙が濡れてしまう
あと少しなのに どうしよう

鳩は全力で羽ばたきますが とうとう雨が降り
鳩も手紙もぐっしょり濡れてしまいました

途中の木の下で雨宿り
鳩は落ち込みます
ちゃんと空を見るべきだった
ちゃんと飼い主に 届けるタイミングを聞くべきだった

鳩は 地面を見つめ 自分を責めはじめそうになりました
そして 濡れた手紙に目が留まります
外の封筒はボロボロで 中が開けていました
そして 中の文に目が留まります

それを読んでいると 鳩の目に涙があふれました
ただ 文字を眺めて追いかけているだけでしたが
涙が止まらなくなり しだいに激しく泣きました

その手紙は 飼い主の親愛なる家族への手紙でした
その手紙には 家族への愛が書かれていました
そして 鳩のことも書いてありました
雨が降るであろうこと
濡れた鳩を迎え入れて
少しの間世話をしてやってほしいということ
鳩がどれだけ自分のために尽くしてくれているかの自慢話まで書かれていました

その手紙は 紙ではなく 板のようなもので 水にぬれても平気なものでした
それに気づき 鳩はもっと泣きました
文字がわからなくても 心が読んでいました
飼い主は こうなるとわかっていて 送り出してくれた

やがて雨はやみ 鳩は出発しました
手紙を届けた先の人たちは 鳩を喜んで受けいれてくれ
文字を読むことを教えてくれました

そこの人は言いました
飼い主が 鳩が文字が読めないことを少し憂いているのを知って
ここで教えてくれないかと 頼んできたんだよ

鳩は 心が温かくなりました
そして 飼い主のことを もっと好きになりました

鳩は 手紙を書きました
初めて書いたその文は 飼い主へ向けての気持ちでした
私の愛するお父さんへ