重い鎧

ある国の騎士の話。
その騎士は臆病で、戦争のときには自分の体に合わない大きな鎧を着て戦場に出向いていました。
鎧は分厚く、また武器の扱いに長けていたので、倒れることはありませんでした。
ですが、その代わりに動きが遅く、戦果を挙げることもありませんでした。

仲間には、
その鎧を脱いで戦った方がいいんじゃないか
と言われますが、騎士は頑なに着続けていました。

騎士には、恋い慕う女性がいました。
女性も騎士を慕っていましたが、その両親は戦果を挙げていない騎士はダメだと考えていました。

騎士は悩みましたが、鎧を脱げば死ぬという思いに囚われ、脱げませんでした。

時は流れ、隣国と戦争になりました。
騎士もその戦争に駆り出され、あの重い鎧を着ていきました。

その中、敵の奇襲に合い、死が目前にまで迫りました。
戦いは劣勢になり、仲間は倒れていきます。

ふと見ると目の前に、信頼していた部下が傷を負って倒れていました。
そこへ大剣を持った敵が部下を斬るために近づいてきています。

騎士は息を飲みました。
自分が行かなければ、部下は命を落とす。
体を動かそうにも、恐怖が支配して足がすくみます。

ふと脳裏に、恋い慕う女性が浮かびました。
この戦争で負けて、国が倒れたら、
もう彼女の笑顔は見れなくなる。

そう思った瞬間、騎士は敵の前に飛び出していました。
敵の剣は分厚い鎧を砕き、血が流れます。

ですが、騎士はそれを振り払い、自分の武器で敵を吹き飛ばします。
砕けた鎧は不要と判断した騎士は、それを脱ぎ、戦場を駆け巡りました。

最終的に彼の活躍で戦争は終結し、
隣国とは和平を結ぶことになりました。

騎士は体の一部を失い、
もう二度と戦士としては戦えなくなりました。

ですが、騎士は女性を花嫁として迎えることができました。
国を立派に守り、命を顧みずに部下を助けたからでした。

国王は言います。
あなたが自分を顧みず、命を尽くしたので、この国は命を得た。
あなたが望むものは、なんでも与えよう。

自分の命を捨てるものはそれを得、豊かに実を結びます。