旅人と犬と王女さま

とある小さな国のお話。
土地に恵まれた裕福な国で、
とても栄えていました。

その国の王女さまは過保護に育てられ、
外には出たことがありませんでした。

ある日、王女さまは本を開くと、
外の世界が描かれていました。
王女さまは目を輝かせ、
大人に外に出たいと言いました。

大人は、王女さまがあまりにも麗しく、
天賦豊かなのを知っていていました。
なので、人目にさらさずに自分たちのものに
しようと企み、外には出しませんでした。

王女さまは本を読み続け、
もっと外に出たいと思いましたが、
大人は心を頑なにし、
彼女を責め傷つけました。

王女さまは涙を流し、部屋にこもってしまいました。

月日は流れ
この国に一人の旅人と一匹の犬が訪れました。
犬は好奇心旺盛でよく迷子になり、
旅人は手を焼いていました。

ここにつくと、犬は何かを感じて、
旅人が目を離した隙に走り出しました。
そして真っ直ぐに王宮のなかにいる王女さまのところへ来ました。

王女さまは驚きつつも、犬をそっと抱き寄せました。
そのとき王女さまは、犬から外の世界の香りを感じました。

王女さまは犬に、外に連れ出してと頼みます。
犬も思いが通じたのか、導くように走ります。

ふたりは大人の目を掻い潜り、王宮の外に出ることができました。
すると、旅人の呼ぶ声が聞こえてきます。

旅人はこちらを見つけ近づいてきました。
王女さまは自然と旅人の目に吸い寄せられ、
旅人もその麗しい王女さまの姿を見ました。

王女さまは、どうかわたしを連れていってほしいと頼みます。
旅人は手を取り、受け入れます。

旅人は、この国から遠く離れた別の国の王子さまでした。
王子さまと犬も小さな頃から本を読み、
外の世界に憧れていました。

そして二人と一匹は、
物に満たされている国を去り、
険しくも楽しい旅に出るのでした。